コラム
2012.02.28
今回はこのテーマでお送りしたいと思います。 「そもそもシリコンって??」 一般にシリコンと呼ばれているものは化学反応で作られる撥水性(水をはじく)の鉱物油。
ヘアケアに関して言えば、シャンプーやトリートメント、洗い流さないトリートメントの成分として使われている物質になります。その成分が今なぜ問題視されていたり、シリコンフリーの製品に対しての関心が高まっているのでしょうか。 それはこの、シリコンという物質が髪や頭皮に及ぼす悪影響が強く言われるようになってきた経緯による部分が大きいと思っています。
「シリコンが及ぼす髪へのデメリット」 では実際にどのようなデメリット・メリットが指摘されているのかを見ていきましょう。 (1)薬液の浸透を妨げてしまう 負担がかかって荒れてしまったキューティクルを補修する目的で働くシリコン。これ自体が撥水性ということ、またカバー力があまりに強すぎてしまい、薬液の浸透を妨げて、思い通りのヘアカラー、パーマを楽しめないというものです。 (2)キューティクル・頭皮への負担 (1)同様、カバー力の強さから剥がれてくるときに、キューティクルも一緒に剥いでしまい負担をかけてしまうというもの。また毛穴をふさいでしまうと、次に生えてくる毛髪に影響してしまう(細い髪の毛になってしまう)というものもあります。 などなど。
ただ、いずれにしても断定的な書き方ができないところがあって、広く「シリコン」と呼ばれるもの、実際にその種類は百数種類に及ぶとも言われています。 つまり、製造単価の安価な、いわゆる「悪玉シリコン」と、高価な「善玉シリコン」、色々なものが混在して商品化されているということです。 「実はすごいんだぞ!シリコンのメリット!!」 実際、美容室で取り扱わせてもらっている商品の中にもシリコンを配合しているものは少なくありません。 そもそも髪が乾燥してしまうというのは、まずこのキューティクルが損傷、欠落していくところから始まり、内部の栄養分の流出につながっていきます。 では、そのキューティクルを再生させるのに、今わかっているレベルで一番適している成分はどれか。
やはり、それはシリコンなのです。 健康なキューティクルのように指通りをさらさらにして、外部ダメージから髪を守り、髪内部のアミノ酸を基とする構成要素の流失を防いでくれています。 特性として、オイル状でありながら使用感が非常にさらさらであることから化粧品配合に適しているということに加え、それ自体が化学変化を通常全く起こさないために人体への毒性も皆無です。 またアイロンなどの熱処理から髪を守ってくれる高い効果を持つのも、シリコンの特徴。 怪我をして皮膚を損傷すれば絆創膏を貼るなどの処置をしますよね。つまり、それに近い役割を持つものと思って頂いて差し支えないというわけです。
「ノンシリコン製品の実際」
「補修(トリートメント)する」という言葉の定義自体、難しいところもあるのですが、傷口に貼る絆創膏の役割にあたるシリコンという物質を否定してしまうと、補修そのものが不十分に終わってしまうのではないかというのが、私の考えです。 勿論、ノンシリコン製品は、シリコンを使っていないということですから、内部補修を済ませたキューティクルを、何かそれに代わる物質/コーティング剤(一般にはオイルということになるでしょう)で包み込む必要があります。
ただご存じのとおり、油こそ補修効果を持つものではありませんし、シリコンほどの持続性もありません。また、空気に触れているうちに酸化してしまいますので、時間の経過とともに匂いがきつくなるということも言われています。 熱処理についても先程ふれましたが、ノンシリコン製品のみのケアでアイロンやコテなどを使用するとかなり髪に強い負担を与えることになります。 最近ではシリコンも進化をしており、皮膚呼吸を妨害しないようにメッシュ(網目)状にコーティングするようなものが出てきたり、揮発性のものも多く流通するようになってきたことから、そこまで毛髪や地肌に強く残留することも少なくなってきています。 もちろん、シリコンよりも優れたコーティング剤として、フッ素系のコーティング剤やキトサンのコーティング剤などもありますが、現実的に商品レベルとして流通させるには依然一般的なものではありません。 いずれにしても、「ノンシリコン」「シリコンフリー」という流行のコピーに踊らされることなく、正しい知識を持ってご自身にあったケア商品をお選びいただければと思います。
ちょっと今回は美容師さんによっても意見が分かれやすい、難しいトピック、長文になってしまいましたが、最後までご覧いただき有難うございました。皆様からの質問・お悩みも募集中、どうぞ宜しくお願い致します。
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