【伊藤の履歴書】vol.08 スタイリストデビュー。

代表伊藤の履歴書 2014.01.16

そんなこんな愛情あふれる先輩方に育まれながら、いよいよ私にもヘアスタイリストとしてデビューをする日がやって来ます。

 

 

私にとってもうひとつのお誕生日、2002年10月26日。

 

 

この日にニューオープンするサロンでのデビューという、なんとも恵まれたスタートとなりました。

 

 

◇人事異動は、突然に

 

 

振り返ることそのデビューから半年くらい前。

 

 

アシスタント2年生を迎えた自分たちのところに新店舗オープンの情報が届きました。

 

 

しかもオープンする場所は駅をまたいで反対口。

 

 

スタッフはそのまま現スタッフからの異動。

 

 

まず何よりの関心事は、「誰が新しいお店に異動するのか。」

 

 

学生時代の席替えのような雰囲気よろしく、人事についてうわさ話をたてるのは業界不問、世の常ですが、当時在籍していた店舗というのは、1日にお越し頂くお客様が100名をゆうに超えるような(同じ業界の方には分かるかと思いますが)、アシスタントにとってはとてもチャンスに恵まれたサロンでした。

 

 

しかしその分、スタイリストの方たちから求められるものもまたハードルが高く。

 

 

異動という人事が、少なからず、その緊張感から解放されるような心持ちをもたらしてくれるところもありました。

 

 

 

◇チャンスもまた、突然に

 

 

衝撃的な内示は、そんなある日のこと。

 

 

衝撃的なニュースが飛び込んできます。

 

 

「アシスタント全員、その新店舗オープンを機にスタイリストデビュー。」

 

 

アシスタントとして入社してくるスタッフ、いわゆる美容師の卵がスタイリストになっていくプロセスは、サロンの教育体系によっても異なるのですが、いわゆる技術テストを経ない形でこのような内示が下りてくることは、少なくとも当時の私たちアシスタントにとっては、異例も異例、青天の霹靂、びっくり仰天のニュースでした。

 

 

誰が異動するのかだなんて下世話なうわさ話はどこへやら、びっくりする気持ちと、不安に感じる気持ちと、ちょっぴり「うれしい」と思う気持ちと。

 

 

もうすっかり自分たちのことで頭がいっぱい。

 

 

いろんな気持ちが入り交じっているところでしたが、一方、当時の先輩方からのリアクションは様々でした。

 

 

「さすがにまだ早いんじゃないか。辞退した方がいいんじゃないか。」

 

 

という声のほうが大多数だったと思います。

 

 

 

◇つかみにいくのか、いかないのか

 

 

 

先のシャンプー練習のとき(「vol.04 シャンプー練習で学んだこと」)にもそうだったように。

 

 

それでも、

 

 

「いや、僕、なります!なりたいです!」

 

 

向こう見ずに前を向いていれば、ほとほと半ばあきれ顔でも救い上げて下さる先輩はいるものです。

 

 

当時役職に就かれていた先輩スタイリストから受けた、「夜の秘密特訓」(なんとも怪しい響きですね。。。)

 

 

ひたすらカットウィッグに向き合い、何度も何度も同じヘアスタイルを作ってはレッスンを受け、気づけば日付が変わる手前までトレーニングを重ねていた、なんてこともありました。

 

 

 

◇夢見ていた瞬間

 

 

 

そんな経緯を経ていよいよ迎えた異動先のサロン、ニューオープンの日。

 

 

当時アシスタントスタッフは会社から支給してもらっていた制服で営業に当たっていたのですが、スタイリストになるのと同時に私服でのサロンワークが認められ、装いから何もかもが新鮮な気持ちで、今思い返してもおそらく地に足の着いていないような感覚、ハイテンションでフロアに立っていたように思います。

 

 

 

初めて美容室にスタッフとして足を踏み入れた瞬間もそうですが、想像の中の、夢見がちな「初めての瞬間」というのはいつも不安いっぱいの現実と、半分こ。夢見ていた時間とはずいぶん違うものになってしまうものですね。

 

 

 

自分が担当するお客様がご来店して下さって欲しいと思う気持ちと、実際にご来店下さったらどうしよう、うわわわわわな気持ちと、あーもーーー胸がドキドキするじゃーーんか!!!

 

 

「伊藤さん、〇〇様カッティングカール(パーマメニューのスタッフ間での呼称)でお見えになりました。お願い致します。」

 

 

 

週末たくさんのお客様で賑わうフロアが一瞬静まり返るような感覚を憶えたのは、、、

 

 

おそらく私だけですね(笑)。 

 

 

 

初日は3人のお客様を担当させていただきました。

 

 

額に汗した汗を汗と思われぬよう、とにかくお客様に安心していただけるよう、その時出来うる限りの真心と笑顔で、お仕上げまでさせてもらったことを憶えています(実はその3名様のお客様のお名前は今でも憶えています)。

 

 

そんなこんな。

 

 

 

こうして私のスタイリストとしての、波瀾万丈な?キャリアはスタートするのでした。

 

 

(つづく)