【伊藤の履歴書】vol.07 店長のおはなし。

代表伊藤の履歴書 2013.12.14

先にご紹介した通り(vol.06 お尻を出した子、1等賞!)、いろんな先輩方からいろんなカタチの愛情(?)をもって育まれたアシスタント時代ですが、最終的に私のアシスタントキャリアはその後入社1年で終わることになります。

 

 

今回が、伊藤の履歴書〜アシスタント編、最終回。

 

 

スタイリストデビュー以降のお話をご紹介する前に、今回は、私がアシスタントをしていた当時、大変お世話になった店長のおはなしをご紹介したいと思います。

 

 

 

◇3度目のスタート

 

 

 

話が前後してしまいますが先に書いた通り、2001年4月に新卒生としてサロンへの就職をした私、そのサロンにお世話になるまでの半年の間に、2度にわたり道半ば、挫折を経験しています(vol.05 2度の挫折、3度目の正直。)。 

 

 

これはずいぶん後になってから当時の社内幹部の方から伺った話でしたが、結果的に3度目の就職を望む形となった私のエントリーに対して、「お断りしよう」という判断もやはり多分にあったそうです。

 

 

ただでさえ変わり種の進路で入ってくる上に、半年もしないうちに2つのサロンを辞めてきている…。

 

 

履歴を辿れば、正直そちらの方が妥当な評価、判断とさえ感じます。

 

 

いずれにしても、そんな経緯があってだったのかどうかは分かりませんが採用決定からの配属は、本社オフィスを上階にもつ基幹店。

 

 

週末ともなれば1日に100名超のお客様がお越しになる、いわゆる繁盛店でした。

 

 

 

◇強敵、3度現る。

 

 

 

そのサロンでの勤務9年弱の間通算して、私は3人の店長のもとでご指導を受けながら従事して来たのですが、技術・接客全てにおいて行き届かず、試行錯誤していたアシスタントの当時にご指導いただいた最初の店長との時間というのは、やはり最も強く印象に残っています。

 

 

正直なところを申し上げて・・・。

 

 

今までのキャリアの中で1番「おっかない」店長でした。

 

 

それまでのサロンで、声色を変えた強い叱責に対してはもはや、トラウマにも近い、苦手意識を持っていた当時の私にとっては、

 

 

「ここでもまた出会ってしまった・・・。」が、正直な、最初の感想でした。

 

 

 

◇「問題外の、さらに外」

 

 

 

入社間もなく、シャンプーの最終チェックを店長にお願いすることがありました。

 

 

それまで勤めていたサロンでも入客をする機会があり、0からというわけではありませんでしたので、2週間ほどまたそのお店でもトレーニングをし、その日を迎えたのですが。

 

 

今まさにシャンプーをしようと、泡立てを終えたと思ったその時・・・!

 

 

 

髪に泡のついたままの状態で、がばっと!起き上がり、そこまでの行程全てについて、れでもかっ!というほどに強く叱責をされました。

 

 

席への誘導の仕方、膝掛けの掛け方、首に巻くタオル・クロスの位置・強さ、預かるお首を支える指先の温度、湯温への配慮。

 

 

 

シャンプーそのものの力加減やリズム感ばかりを気にかけていた私にとって、店長の答えは全て、

 

 

シャンプー「以前」の問題でした。

 

 

 

◇「おう。」

 

 

 

担当して下さっていた美容師さんの伝手からの3度目の就職、出遅れてしまった半年間。

 

 

「早くまた信頼してもらえるような仕事をしていきたい」

 

 

それを感じ取って協力してくれていた同僚たち。

 

 

色々考えるほどに、なんとも自分の行き届かなさが情けなくもあり、悔しくもあり。

 

 

再チェックを言い渡され、すっかり肩を落としていたところに(、、、ってほんとこの時期、何かあればすぐ肩落としてばっかりですね)、さきほどかなりの勢いでダメ出しをされた店長が再びあらわれ・・・、

 

 

 

 「おう。」

 

 

 

◇きっと、この日がバースデー。

 

 

 

この時に、かなり時間をかけてして下さった話(一語一句と記憶している訳ではありませんが)というのは、私にとってその店長への「おっかない上司」というだけの見方を変えたばかりでなく、いかに自分が美容師というお仕事のことを誤解していたかということを痛感させてくれるおはなしでした。

 

 

 

「このサロンに入って来た時に、自分にしてくれた自己紹介。その姿を見て、自分は確信している。『大丈夫、お前は美容師になれる。』

 

 

 

とても、とても、大きなターニングポイントだったと思っています。

 

 

 

◇自分の仕事に誇りを持つということ

 

 

 

ご指導いただいていた当時の店長の年齢を私もとうに過ぎているので、今になれば、何となく分かるところがあります。

 

 

 

いろいろな場面で「背負ってくれていた」方でした。

 

 

 

「大丈夫です。僕が面倒を見ている限りは必ずいい美容師にしてみせますから。」

 

 

 

様子見も多分にあったでしょう、髪をしに来てくれた私の母にそういう声をかけてくれたり。

 

 

当時住まいが近かったこともあり、一緒に歩いて帰ることもしばしばありました。

 

 

「自分が不器用だと思うんなら、人の倍練習しなさい。それでも足りないなら、その倍やりなさい。」

 

 

「そこにこだわるから、自分の仕事に、誇りを持てるんだろ。」

 

 

その後、スタイリストとしてデビューをすることになった私が店舗を異動することになり、直接ご指導を頂く機会は少なくなってしまいましたが、折にふれ気にかけて下さり、公私にわたって大変お世話になった店長でした。

 

 

 

たられば、は無粋ですし、ずいぶん時間が経ってしまいましたので、尾ひれがついてしまうところもあるかもしれませんが。

 

 

あの当時の私に、あの店長との出会いがなければ、もしかしたら私は今ごろ美容師への道を諦めてしまっていたかもしれません。

 

 

 

今ではそんな私も、お店を運営し、スタッフへの指導をする立場にまでなっているわけですが、当時の店長が私にかけて下さった気持ち、言葉。

 

 

「背負ってくれた」覚悟。

 

 

時間を経て、思い起こし、照らし合わせながら、反省することもしばしばです。

 

 

 

今回初めてこういう形で、自分以外の方のことを交えて当時のことを書きましたが、書くほどに思い起こされることもあり、改めて自分も今の位置を確認しつつ、なお超えていかなくては、思い新たにした次第です。

 

 

 

来年からはいよいよ激動の?スタイリスト編。

 

 

 

 

もしよかったら引き続きよしなに。

 

 

 

(つづく)